令和5年度 弁理士短答式試験(特許 問3)

三鷹深大寺特許事務所

 令和5年度 弁理士短答式試験(特許 問3)

 

【特許・実用新案】問3

 

特許を受ける権利及び特許法に規定する実施権等に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。

 

(イ) 仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権を有する者は、当該仮通常実施権を、特許を受ける権利を有する者又は仮専用実施権者のいずれかの承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合、移転することができる。

 

× 仮通常実施権は、その特許出願に係る発明の実施の事業とともにする場合、仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権についての仮通常実施権にあっては、特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる(特43条の34項)。

 特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者の承諾を必要としているのは、誰にでも移転可能としてしまうと、特許を受ける権利を有する者及び仮専用実施権者が不利益を被る場合(利害関係者への移転等)があるからである。実施の事業とともにする場合の移転を認めているのは、実施していた設備の無駄を招いてしまうため、産業の発展上、適当でないと判断されたことによる。

なお、通常実施権の移転も仮通常実施権の移転と同様(特94条1項)。

 

(ロ) 特許権についての通常実施権は、登録その他何らの要件を備えなくても、また、いかなる発生原因によるものであっても、その発生後にその特許権を取得した者に対して、その効力を有する。

 

○ 「通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。」(特99条)

 

(ハ) 特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について設定された仮専用実施権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その特許を受ける権利を有する者の承諾を得た場合には、その仮専用実施権に基づいて取得すべき専用実施権について、他人に仮通常実施権を許諾することができる。

 

× 特34条の二第8項で準用する特33条4項。

「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、仮専用実施権を設定し、又は他人に仮通常実施権を許諾することができない。」

 

(ニ) 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡すること、その持分を目的として質権を設定すること及びその持分を放棄することのいずれもできないと、特許法に規定されている。

 

× 持分を放棄できないことは、規定されていない(特73条1項)。

 

(ホ) 甲と乙は共同で発明をし、特許を受ける権利を共有していたところ、乙及び丙が甲に無断で当該発明について共同で特許出願をし、その後特許権を取得し、共有するに至った。この場合、甲が丙に対して当該特許権の自己の持分の移転を請求し、当該請求に基づく特許権の持分の移転の登録があったときは、その特許権の持分は初めから甲に帰属していたものとみなされる。なお、上記以外の特許出願はないものとする。

 

○ 設問のとおり(特74条2項)。平成23年の改正により、真の権利者が冒認から救済されるようになった。

 

 

1 1つ

2 2つ

3 3つ

4 4つ

5 なし

 

 

 

問3の回答 2

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