令和5年度 弁理士短答式試験(特許 問5)

三鷹深大寺特許事務所

 令和5年度 弁理士短答式試験(特許 問5)

 

【特許・実用新案】問5

実用新案登録出願及び実用新案登録に関し、次の()()のうち、誤っているものの組合せは、どれか。

 

() 実用新案権の設定登録後、最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があった日から2月を経過したとき、又は、実用新案登録無効審判について最初に指定された答弁書提出可能期間を経過したときでも、実用新案権者がそれまでに訂正を一回も行っていない場合は、実用新案登録請求の範囲の減縮を目的とした訂正をすることができる。

 

× 「実用新案権の設定登録後、最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があった日から2月を経過したとき、又は、実用新案登録無効審判について最初に指定された答弁書提出可能期間を経過したとき」は訂正をできない(実14条の2)。審査の迅速化からと思慮される。

 

() 実用新案技術評価は、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者も請求することができ、実用新案権者又は専用実施権者は、侵害する者に対し、自らの請求によるものではない実用新案技術評価書を提示して警告し、自己の実用新案権又は専用実施権を行使することができる。

 

○ 誰が請求したものでも、実用新案技術評価書の内容自体には変わりがないので。

 

() 実用新案権者甲が、乙に対し、実用新案権を行使した場合において、その実用新案権に係る考案が、実用新案登録出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された考案であることを理由として、実用新案登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、甲は、相当の注意をもって権利を行使したことを立証しない限り、その権利の行使により乙に与えた損害を賠償する責任を負う。

 

○ 条文(実29条の3)の文言的には、相当の注意の他、実用新案技術評価書の実用新案技術評価に基づき権利を行使した場合も責任を回避できる、と読めるので、設問にある「相当の注意をもって権利を行使したことを立証しない限り」は適当でないとも考えられる。少しグレーな問題。ただし、(イ)と(ニ)が間違いなので、本問は○と判断される。

 

() 実用新案登録請求の範囲に3つの請求項1~3を記載した実用新案登録において、請求項1及び2について実用新案登録無効審判が請求された場合、その実用新案登録無効審判について、最初に指定された答弁書提出可能期間の経過後は、請求項1及び2に係る考案の実用新案登録に基づく特許出願はできないが、請求項3に係る考案の実用新案登録に基づく特許出願はできる場合がある。

 

× 実用新案登録に基づく特許出願について規定する特46条の2(第1項第4項)からすれば、答弁書の提出期間の経過前ならば、設問における請求項1乃至3すべてにつき、出願変更可能である。逆に設問のように、該期間の経過後の場合、どの請求項であっても特許出願への変更は不可と解される。

 

()用新案登録を受けることができるのは、物品の形状、構造又は組合せに係る考案のみであり、プログラム自体について実用新案登録を受けることはできないが、登録実用新案に係る物品の製造に用いられるプログラムの生産や譲渡が、その登録実用新案に係る実用新案権を侵害するものとみなされる場合がある。

 

○ 設問のとおり(実2811号)。いわゆる間接侵害を形成する行為であり、侵害とみなす行為にあたる。

 

1 (イ)と(ニ)

2 (ロ)と(ホ)

3 (イ)と(ハ)

4 (ロ)と(ニ)

5 (ハ)と(ホ)

 

 

5の回答 1  OK                                

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