三鷹深大寺特許事務所
令和5年度 弁理士短答式試験(特許 問6)
【特許・実用新案】問6
特許法に規定する総則に関し、次の(イ)~(ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
(イ) 特許法には、物の発明にあっては、その物の生産、使用、譲渡等、輸出若しくは輸入(外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含む)又は譲渡等の申出をする行為は、いずれも発明の実施にあたると規定されている。
× 「外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為」は特許法にはない。商標法、意匠法において、令和3年法改正時に追加された。なぜ、特許法に追加されなかったのかは不明。
ちなみに、商標法、意匠法における前記行為の意味は、海外から輸入業者を使い模倣品を国内の消費者に直接販売する業者を抑えるためのもので、同法改正により、税関での侵害品の差し押えを目的とする。外国での発送行為を対象としているわけではなく、あくまで日本国内の税関での行為を対象とするものであるので、属地主義に則っている。
新しい法改正に関連した設問ではあるが、商標、意匠として問が設定されているならいざ知らず、特許に絡ませてくるのは、やや意地が悪いと思われる。
(ロ) 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、特許法第 108 条第1項(特許料の納付期限)、特許法第 121 条第1項(拒絶査定不服審判)及び特許法第 173 条第1項(再審の請求期間)に規定するいずれの期間も延長することができる。
○ 特4条のとおり。設問の場合の他、他人が実用新案技術評価書を請求した場合における実用新案登録に基づく特許出願(特46条の2第1項第3号)についても、期間延長できる。
(ハ) 日本国内に住所又は居所を有する者であって特許に関する手続をするものの委任による代理人は、特別の授権を得なければ、出願公開の請求、拒絶査定不服審判の請求又は特許権の放棄のいずれもすることができない。
○ 基本的に出願人に不利益を与える行為については、特別の授権が必要とされている(特9条)。
(ニ) 特許に関する手続をする者の代理人が甲、乙及び丙であって、本人が、甲、乙及び丙との委任契約において、甲、乙及び丙の共同代理によってのみ代理されるべき旨の定めをしても、特許庁に対しては、甲、乙及び丙の各人が本人を代理する。
○ 特12条のとおり。
(ホ) 特許無効審判において特許権者甲が証拠調べを申し立てた後、その特許権の全部を乙に移転した場合、特許庁は特許権の当該移転後も証拠調べの申立てがあったものとして取り扱わなければならない。
○ 特許権その他特許に関する権利についてした手続の効力は、その特許権その他特許に関する権利の承継人にも、及ぶ(特20条)。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 なし
問6の回答 4 OK