特 許 法 の 解 説
三鷹深大寺特許事務所
特許法の解説
【特29条の2】簡略版 (令和5年7月3日施行)
第二十九条の二
特許出願に係る発明が・・・後願の特許請求の範囲に記載された発明
当該特許出願の日前の他の特許出願であつて
出願公開の発行がされたものの願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載され発明と同一であるときは、・・・つまり、請求の範囲に限らず、明細書等のすべてに記載された発明のうちのいずれかと同一ということ
その発明については、特二十九条第1項の規定にかかわらず、特許を受けることができない。
ただし、以下の場合を除く。
① 後願と先願の発明者が同一である場合。
② 後願出願時において、後願出願人と先願出願人とが同一である場合。
<制度趣旨>
1.後願は公開代償相当にない
後の出願に記載された発明(請求の範囲)は先の出願明細書等に記載された発明と同一なので、先の出願が公開された場合、何ら新しい技術公開に貢献しないこととなる。特許権の付与は公開代償によるものなので、このように新しい技術公開に貢献しない発明には、特許を付与しないこととした。
2.後願に対する審査の迅速化
後願が先に審査請求された場合、特29条の2がない場合、先願の審査結果を待つ必要が生じる(特39条の該当を確認するため)。それでは時間を要してしまう。そこで、特29条の2では先願明細書等に記載されている発明(請求の範囲に限らない)と後願に係る発明(請求の範囲)が同一の場合は特許を受けることができないとした。これにより、先願の審査結果を待たずに後願を審査することが可能となり、審査が迅速化される。
3.先願に後願排除権を与える
先願の明細書等に記載された発明(請求の範囲に限らない)すべてを後願排除可能な発明とすることで、先願出願人を保護することとしている。これにより、先願の請求の範囲に記載した発明(権利化対象)を特許として守るだけでなく、周辺技術も他者の権利化(独占)を阻止できるので、先願出願人が特許を活用し易い環境としている。
【通常実施権の対抗力】
第九十九条 通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
<説明>
[{(その特許権)若しくは(専用実施権)}又は(その特許権についての専用実施権)]を取得した者に対しても・・・