2022.6.20 弁理士 Gatto della Fortuna
【特許・実用新案】問3
特許法に規定する総則に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
1 プログラムの発明について、当該プログラムを記録したCD-ROMを輸出したとしても、 その行為は、当該発明の実施にあたらない。
1× プログラム等を輸出する行為は発明の実施にあたる(特2条3項1号)。プログラム等は通常、何らかの媒体(例えばCD-ROM)に記録されるものであるから、これを輸出する行為は発明の実施にあたると解するのが相当。
2 拒絶をすべき旨の査定の謄本が令和3年(2021年)7月16日(金)午前10時に送達 され、その送達のあった日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求する場合、その期間 の起算日は同年7月 17 日(土)となり、その起算日に応当する日は同年 10 月 17 日(日) となる。
2○ 起算日、応答日とも正しい(特3条)。満了日(応答日の前日、休日等の場合はその翌日)と混同しないように。
3 法人でない社団又は財団であって、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において出願審査の請求をすること、及び訂正審判を請求することができる。
3× 法人でない社団又は財団であって、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において出願審査請求はできるが、訂正審判請求はできない(特6条)。そもそも法人でない(また、個人でもなく、いわゆる「人」でない)ので、特許権者となれないため、訂正もできない。
4 特許無効審判を請求する者が、その請求書を郵便により提出する場合において、その郵便物の通信日付印により表示された日時が明瞭であるときは、その日時に、当該請求書が特許庁に到達したものとみなされる。
4× 郵便物の通信日付印により表示された日時が特許庁への到達日時とみなされるのは、願書や拒絶通知に対する補正書等の提出の期間が定められているものが対象(特19条)。特許無効審判は対象となっていない。これは、特許無効審判は一刻を争うものでないため。
5 審決の謄本の送達後に中断した手続について、受継の申立てがあった場合、特許庁長官又は審判官は、受継を許すときを除き、当該受継の申立てについての決定をしなけれ ばならない。
5× 「受継を許すかどうかの決定をしなければならない。」が正しい(特22条)。すなわち、受継を許すときも決定をしなければならないので、問5は誤り。
なお、審決の謄本の送達前であれば、審判の手続にあたるので、
特許庁長官又は審判官は、職権で調査し、理由がないと認めるとき、決定で、却下しなければならない(特24条で準用する民訴128条1項)。送達後になると、理由があるときも決定をしなければならない点で異なる。これは、一度、審決がでたものに対応するため。
また、「受継」とは、当事者が死亡した場合等に、相続人等が手続きを受け継ぐこと。民訴124条で受け継ぐことができる者が定められており、誰でも受継ぎことができるわけではないため、特許庁長官等はこれを調査し、決定する。
問3の回答 2