三鷹深大寺特許事務所
令和5年度 弁理士短答式試験(特許 問7)
【特許・実用新案】問7
特許法に規定する特許料及び罰則について、次の(イ)~(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
(イ) 特許料の納付期限までに特許料の納付がなく、その後、所定の追納期間内に特許料の追納がなかったが、特許料の追納による特許権の回復の規定により特許権が回復した場合、当該特許権の効力は、納付期限経過の翌日に行われた、当該特許権に係る発明の実施行為に及ぶ。
○ 特112条の3第2項1号のとおり。設問における「納付期限経過の翌日」とは、「特許料の納付期限経過の翌日」、すなわち、「所定の追納期間内」にあたる。
回復した特許権の効力が制限される期間は、特許料を追納することができる期間の経過後から特許権の回復の登録までの期間。したがって、設問の発明の実施行為が行われたのは、特許料を追納することができる期間内であるので、特許権の効力は制限されない。
(ロ) 秘密保持命令に違反した者に対して公訴を提起するには、告訴を要しない。
× 「前項の罪(秘密保持命令違反の罪)は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」(特200条1第2項)。
これは、ひとたび公訴されると、公開の法廷で審理されることになるので、公訴ではなく営業秘密保持者の告訴による親告罪とすることで、該情報の公開の判断を営業秘密保持者に委ねている。
(ハ) 法人の従業者が、その法人の業務に関して審査官を欺いて虚偽の資料を提出し、特許要件を欠く発明について特許を受けた場合、従業者は3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金に処せられ、法人に対しては両罰規定により 300 万円以下の罰金刑が科せられる。
× 従業者は設問のとおり(特197条)。法人に対しては、1億円以下の罰金刑(特201条の3第1項2号)。
(ニ) 過誤納の特許料の返還を受ける場合、及び、特許を無効にすべき旨の審決が確定した年の翌年以後の既納の各年分の特許料の返還を受ける場合は、いずれの場合であっても、納付した者の請求を要する。
○ 「既納の特許料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。」(特111条柱書)
納付した者以外が請求しても、その者に返還されるわけではないので、請求した者の利益が欠ける行為のためと思われる。
(ホ) 特許法の規定により特許庁又はその嘱託を受けた裁判所から呼出しを受けた者が、正当な理由がないのに出頭せず、又は宣誓、陳述、証言、鑑定若しくは通訳を拒んだときは、過料に処せられる。
○ 条文のとおり(特204条)。民訴192条と同様な趣旨。いわゆる、秩序罰。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
問7の回答 2 OK